推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜


 ――……

 防波堤に腰を下ろすと、昼間の熱がまだ残っていた。
 波は穏やかで、遠くの街の灯りが水面に細く揺れている。

 「来年さ」

 柊が、ぼんやり遠くの海を見ながら言った。

 「俺たち、もう高校生かぁ……
 なんか、色々変わりそうだよね」

 蓮は防波堤に寝転がったまま、鼻で笑う。

 「は?
 変わるって言っても、どうせまたここ来るだろ」

 「それはそうだけどさ」

 柊が苦笑いする。

 幼馴染の夏と蓮と柊は、小学生の頃から夏休みは蓮の祖父母の家で過ごしていた。夏が作った曲を一緒に演奏して遊んでいた。
 
 「高校生になると、あっという間に受験勉強や、進路考えたり…?今みたいに、毎日一緒ってわけにはいかなくなるでしょ」

 少しの沈黙の後、夏はポツリと言った。

 「……変わると思う」

 二人が顔を向ける。

 「でもさ」

 指先で、防波堤のコンクリートをなぞる。
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