おもひで猫列車へようこそ〜後悔を抱えたあなたにサヨナラを〜
『なんかズルいけど、ま、いっか。いつかちゃんと言ってよ。俺のこと好きって』
『わ、声大きいよ』
『あはは、誰もいないじゃん』
そう言って彼が悪戯っ子のように笑いながら、私のマフラーを巻き直すとさりげなく頬にキスを落とす。そして彼がぎゅっと私を抱きしめる。
『桜が好きだよ』
『私も……』
──(私も、大好きだよ)
彼の腕の中で私は何度そう言っただろうか。
けれど恋愛経験値が低すぎて初めての恋に戸惑ってばかりの私は、うまく言葉に出せなかった。
心の中ではたくさん好きだと言えるのに、面と向かって口にするのがどうにも無性に恥ずかしくて付き合って半年も経つのに、彼に好きだとちゃんと伝えることができなかった。
だって、二度と伝えられないなんて思っても見なかったから。
心の中は言葉にしないと何ひとつ伝わらないなんて、わかってたはずなのに。
──彼との出会いは私が大学に入学して間もない頃のこと。
駅で定期券を落としたのを拾って追いかけてきてくれたのが静馬くんだった。
お礼を言って受け取った時、互いに持っていた鞄からスケッチブックや画材が見えて、同じ画家志望だとわかった。さらにゼミも同じだったことから少しずつ話すようになった。
彼の屈託のない性格と、絵に対する情熱とひたむきさを知り、気づけば私は彼に初めての恋をしていた。
『わ、声大きいよ』
『あはは、誰もいないじゃん』
そう言って彼が悪戯っ子のように笑いながら、私のマフラーを巻き直すとさりげなく頬にキスを落とす。そして彼がぎゅっと私を抱きしめる。
『桜が好きだよ』
『私も……』
──(私も、大好きだよ)
彼の腕の中で私は何度そう言っただろうか。
けれど恋愛経験値が低すぎて初めての恋に戸惑ってばかりの私は、うまく言葉に出せなかった。
心の中ではたくさん好きだと言えるのに、面と向かって口にするのがどうにも無性に恥ずかしくて付き合って半年も経つのに、彼に好きだとちゃんと伝えることができなかった。
だって、二度と伝えられないなんて思っても見なかったから。
心の中は言葉にしないと何ひとつ伝わらないなんて、わかってたはずなのに。
──彼との出会いは私が大学に入学して間もない頃のこと。
駅で定期券を落としたのを拾って追いかけてきてくれたのが静馬くんだった。
お礼を言って受け取った時、互いに持っていた鞄からスケッチブックや画材が見えて、同じ画家志望だとわかった。さらにゼミも同じだったことから少しずつ話すようになった。
彼の屈託のない性格と、絵に対する情熱とひたむきさを知り、気づけば私は彼に初めての恋をしていた。