おもひで猫列車へようこそ〜後悔を抱えたあなたにサヨナラを〜
描けないどころか、笑うことさえできなくなってどのくらい経つだろうか。
「……苦しい……」
ぽつりと呟いた声は静かな一人暮らしの部屋に響くが誰からの返事はない。六畳ほどの和室には私が丸めて放り投げたスケッチブックの紙が散乱しているだけだ。
抽象画が得意であり油彩学科を専攻している私は、一回生の時は公募にも積極的に出していたが、二回生は出すほどの作品が描けず一度も出品に至っていいない。
所属しているゼミの先生には“あんなことがあったのだから焦らなくていい”と相談するたびに言われているが実際は焦りよりも、日々後悔が募るばかりなのだ。
どうしようもない“後悔”。
そもそも後悔とは何かしらの出来事や他者との言葉のやり取りのあとにやってくるのが一般的だと思っている。
後者のように他者とのやり取りの中で何かしらの“後悔”が生まれたのならば、弁解するなり謝罪するなりの手段があるだろう。
同じく何かしらの出来事もそうだ。よほど取り返しのつかない出来事以外は、誠意をもった謝罪や弁明によって、後悔の元となっている原因やわだかまりを取り除くことは不可能ではないと思う。
でも何事にも例外はある。
自分の中の後悔に起因する相手に、もう二度と会えないのだとしたら?
その後悔はずっと心に棲みついて鉛のように重くむしばんでいく。今の私のように。
「静馬くん……私、どうしたら良かったのかな」
私は、もう会えないその人の名前を口にし問いかける。何をどこからどう間違えてしまったのかわからない。ただ、好きなだけだった。それだけだったのに。
どうして──?
何度もこの四文字を繰り返したが、いまだに納得できなければ、現実をうまく飲み込むこともできていない。
「……苦しい……」
ぽつりと呟いた声は静かな一人暮らしの部屋に響くが誰からの返事はない。六畳ほどの和室には私が丸めて放り投げたスケッチブックの紙が散乱しているだけだ。
抽象画が得意であり油彩学科を専攻している私は、一回生の時は公募にも積極的に出していたが、二回生は出すほどの作品が描けず一度も出品に至っていいない。
所属しているゼミの先生には“あんなことがあったのだから焦らなくていい”と相談するたびに言われているが実際は焦りよりも、日々後悔が募るばかりなのだ。
どうしようもない“後悔”。
そもそも後悔とは何かしらの出来事や他者との言葉のやり取りのあとにやってくるのが一般的だと思っている。
後者のように他者とのやり取りの中で何かしらの“後悔”が生まれたのならば、弁解するなり謝罪するなりの手段があるだろう。
同じく何かしらの出来事もそうだ。よほど取り返しのつかない出来事以外は、誠意をもった謝罪や弁明によって、後悔の元となっている原因やわだかまりを取り除くことは不可能ではないと思う。
でも何事にも例外はある。
自分の中の後悔に起因する相手に、もう二度と会えないのだとしたら?
その後悔はずっと心に棲みついて鉛のように重くむしばんでいく。今の私のように。
「静馬くん……私、どうしたら良かったのかな」
私は、もう会えないその人の名前を口にし問いかける。何をどこからどう間違えてしまったのかわからない。ただ、好きなだけだった。それだけだったのに。
どうして──?
何度もこの四文字を繰り返したが、いまだに納得できなければ、現実をうまく飲み込むこともできていない。