王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜
美弥にはさすがにカッコ悪くて言えないが、結婚してもいまだに美弥が可愛すぎて、好きすぎてどうしたらいいのかわからない時がある。

さらにはこんな独占欲の塊の俺を選んでくれたことを、奇跡だとも理解している。

ようは、美弥が俺には勿体ほどの女だと嫌というほど知っているから。

だから縛り付けてすぐに確認したくなる。

「絶対だかんな。俺捨てるとかありえないかんな」

「そんなことしないよ」

「捨てたら生き霊になるかんな」

「もうっ、物騒なこと言わないでよ。わかったから、ね?」

美弥が宥めるように愛らしい顔をこちらに向けて、俺の鼓動がまた少しはやくなる。

結婚して数年経つが、いつだって美弥の仕草や言葉一つで俺の心は騒がしくなる。

「ん、わかった」

俺が納得して、美弥から手を離せばすぐに英玲奈が嫌がらせのようにため息を吐きだした。

「……はぁああ。ヤバすぎ」
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