夜と最後の夏休み
自分の家に向かって歩いていくと、その手前に美海の家がある。どうしようかな。ちょっと悩んでから美海の家のインターホンを押した。中から聞き慣れた声が聞こえる。名乗ると美海がニコニコしながら出てきた。
「夜、どしたの?」
「あのさ、一緒にいてもいい?」
「もちろん」
美海は丸い目を三日月みたいに細くして、笑顔で家に上げてくれた。ものすごく安心できた。やっぱり美海は違う。
美海の黒い髪が肩の辺りで揺れていて首は見えない。よく美海が着ている袖のないシャツと、幅が広い膝上のズボン。ほんといつもの美海の格好なんだけど、それがすごい似合ってて僕は好きだ。
その後、別になにか特別なことをしたわけじゃない。縁側で並んで、二人で課題図書を読んだだけだ。
「あ、それ。私も読もうと思ってたんだ」
「そう? じゃあ先に読んでいいよ。僕はもう一冊を読んでるから」
「ありがと。スイカあるよ」
「読み終わったら食べる」
そんな感じ。いつもどおり。それがありがたかった。
「そういえば」
ふと思い出して美海を見る。
「うん?」
「美海って水色のスカートって持ってる? ひらひらした感じの」
「持ってない」
「そっか」
美海は不思議そうな顔をしている。さっき田崎さんが着ていたような服を美海が着てたら似合うと思うんだけど。さすがにそれを言うのはあんまりな気がして、僕はなんでもないと首を振った。
「夜、どしたの?」
「あのさ、一緒にいてもいい?」
「もちろん」
美海は丸い目を三日月みたいに細くして、笑顔で家に上げてくれた。ものすごく安心できた。やっぱり美海は違う。
美海の黒い髪が肩の辺りで揺れていて首は見えない。よく美海が着ている袖のないシャツと、幅が広い膝上のズボン。ほんといつもの美海の格好なんだけど、それがすごい似合ってて僕は好きだ。
その後、別になにか特別なことをしたわけじゃない。縁側で並んで、二人で課題図書を読んだだけだ。
「あ、それ。私も読もうと思ってたんだ」
「そう? じゃあ先に読んでいいよ。僕はもう一冊を読んでるから」
「ありがと。スイカあるよ」
「読み終わったら食べる」
そんな感じ。いつもどおり。それがありがたかった。
「そういえば」
ふと思い出して美海を見る。
「うん?」
「美海って水色のスカートって持ってる? ひらひらした感じの」
「持ってない」
「そっか」
美海は不思議そうな顔をしている。さっき田崎さんが着ていたような服を美海が着てたら似合うと思うんだけど。さすがにそれを言うのはあんまりな気がして、僕はなんでもないと首を振った。