私が好きになったのはどっちなの?
「はいはい」
 軽く聞き流す俺に彼女が文句を言う。
「先生、適当に流さないでください」
「いただきます。おっ、今日は肉巻きおにぎりに玉子焼き、それにポテトサラダもある」
 弁当箱を開けると、前回よりも豪華だった。
「でしょう? 頑張ったんですよ」
 得意げに言う彼女がかわいい。
「はいはい。頑張りましたね」
 フッと笑いながら抑揚のない声で褒めるが、彼女は俺の腕を掴んで文句を言おうとする。
「だから、先生〜」
「早く食べないと、練習する時間なくなるよ」
 俺の指摘に彼女はパッと手を放し、渋々その話題を終わらせる。
「あ~、もう。はい、いただきます」
「この肉巻きおにぎり、すごく美味しい。気に入った」
 早速おにぎりを口にするが、お世辞じゃなく美味しくて笑みが溢れる。
「毎日注射してくれるなら、また作りますよ」
 花梨ちゃんがそんな話をしてきたものだからちょっと怒った。
「こら、それじゃあ樹にアプローチするレッスンにならないよ。今は話しかけるのはできるだろうし、次のレッスンは樹を誘うことだな。もう俺は釣りの企画はしないよ」
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