私が好きになったのはどっちなの?
「田中さん、ダメですよ。看護師に触らないでください。ご家族に報告しますよ」
 冷静に対処する蓮先生は、やはり頼りになる。他の先生だったらここまで親身になってはくれなかったかもしれない。
「花梨ちゃん、患者さんだからといって、大目に見なくてもいいから」
 蓮先生が私の頭をポンとしながら注意する。
「はい。すみません」
「師長に言って担当を変えてもらう。他にもなにか困ったことがあれば、すぐに言うこと、いい?」
「はい。ありがとうございます」
 私が返事をすると、蓮先生はニコッと微笑んでこの場を去る。
 なんだろう。今の蓮先生……バス事故の時の樹先生と重なる。
 双子だからそう思うのかな?
 でも、髪の色も違うし、メガネだってかけていないのに……。
 じっと蓮先生の後ろ姿を見ていたら、静香さんに声をかけられた。
「花梨さん、行くよ。それにしても蓮先生、頼りになるわね。認知症の患者さんにも毅然とした態度だし」
「ちゃんと私たちを守ってくれる頼もしい先生です」
 フフッと笑って、静香さんと次の病室に行く。
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