私が好きになったのはどっちなの?
「やり直し」
 先生もいつもなら甘いのに、今日はなんだか厳しい。
「樹先生、隣いいですか?」
 あっ、やっと言えた。
「樹がいつまでもフリーとは限らない。樹と付き合いたいなら、逃げずに頑張ること」
 蓮先生は私の目を見て頷いて、真剣な表情で言う。
 確かにそうだ。樹先生とは科も違う。
 自分から積極的に話しかけなきゃ、顔は覚えてもらってもそのうち忘れ去られてしまうだろう。
「はい」
 返事はしたものの、蓮先生がそばにいないのにうまく誘えるか心配だった。
「もう明日は会えない。そんな気持ちで頑張るといいよ」
 明日は会えない……か。
 うん、そのくらいの気持ちでいかないとダメだ。
 蓮先生の言葉が、胸に刺さった。
「はい、ありがとうございます。私……先生に頼ってばかりでダメですね。ちゃんと自分で考えて行動しないと」
 こんなこと言ってくれるのは先生しかいない。
 ニコッと笑う私を、蓮先生がからかってくる。
「ちょっと大人になってくれて嬉しいよ」
「いやいや、もうとっくに大人ですから」
< 132 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop