私が好きになったのはどっちなの?
「お前、今の自分がどんな顔してるか知らないだろ?」
「別に。普通の顔」
 何食わぬ顔で返すが、こいつはしつこく絡んでくる。
「愛おしくて仕方がないって顔してるけど」
 自分がどんな表情をしているかなんて知らないが、ルカにそう見えるということは相当マズいかもしれない。
「妹が欲しかったし、年が離れてるからそう見えるだけだよ」
 咄嗟にそんな嘘をつくと、ルカがスーッと目を細めて皮肉を言う。
「妹が欲しいなんて初耳だが?」
「いちいちお前に言わないよ。妹はいないけど、シスコンなんだよ、俺は」
 ニヤリと笑ってごまかせば、酔っ払った土方が同調する。
「あっ、わかります。俺も妹いないけど、推しのアイドルが妹みたいに思えて、ついついいい生活してもらいたくてお金つぎ込んでグッズ買うんですよ」
 そんな話をしていて土方も酔い潰れると、ルカが急に表情を変えて俺を見据えてきた。
「俺、土曜にドイツに帰る」
「そうか」
 
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