私が好きになったのはどっちなの?
 花梨ちゃんの元へ行くと、周囲を気にせず彼女を強く抱きしめた。
「花梨ちゃん!」
「夢じゃない?」
 不安そうな声で花梨ちゃんが聞いてきて、笑顔でゆっくりと動揺している彼女にしっかり伝わるように答える。
「夢じゃないよ」
「先生……先生……」
 涙ぐみながら俺に抱きついてくる彼女を見て、改めて自分は危険な目に遭ったんだと思い知る。
 もし逃げ遅れていたら、今ここで彼女をこの腕に抱くことはなかったかもしれない。
 だが、花梨ちゃんを置いて絶対に死ねないと思った。
「生きてた。……よかった」
 しゃくり上げながら言う彼女の涙を拭い、子供にやるように頭を軽く叩く。
「ごめん。客室乗務員のお陰で飛行機から無事に脱出できたんだけど、ずっと怪我人の手当てをしててね」
 もうこんな風に泣かせたくない。
「先生……血が!?」
 少し落ち着いたのか、花梨ちゃんが改めて俺を見て突然声をあげる。
「これは俺のじゃないよ」
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