私が好きになったのはどっちなの?
 優しく微笑んで言うと、彼女がまだ不安そうな声で聞いてくる。
「本当に?」
「本当」
「……よかった」
 心からホッとしたのか、彼女が吐息とともにそんな言葉を口にする。
「心配かけて悪かったね。落ち着いてスマホを見たら、樹から【水森さんがそっちに行った】なんてメッセージ送ってくるし、花梨ちゃんからもメッセージが来てて慌てて捜しに来たんだ」
 そういえば、花梨ちゃんのことしか頭になくて、ルカを置いてきてしまった。
「……いなくなったら……どうしようかと……思った」
 泣きながら言う彼女を見ていると、胸の中から優しい気持ちが溢れてくる。
「ちゃんといるよ」
 俺が穏やかに返すと、彼女がその言葉を噛みしめるように返事をする。
「……うん。いなきゃ困ります。だって……私、先生が好きだから」
 突然の彼女の告白に驚き、目を見張った。
「花梨ちゃん……」
 俺が……好き。
 冷静に考えれば、彼女の最近の行動はおかしかった。
 俺にキスのレッスンを強請るし、今日は樹とのデートのはずなのに俺を追って成田まできて……。
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