私が好きになったのはどっちなの?
 そんなことを思いながらその日の仕事をこなし、十七時に夜勤の看護師に引き継ぎをすると、着替えて優希くんの病室に立ち寄る。
 ご家族は帰ってしまい、部屋にモニタ音が響いていた。
 煩いって言って起きてくれないかな。
「あれ、水森さん?」
渡辺さんが通りかかって私に声をかける。
「あっ、渡辺さん。なんかやるせなくて……。早く目が覚めてほしいって思うんですよ」
「そうよね。きっと優希くんも起きたがってる。さあ、私たちは帰ろう。夜勤の子たちにバトンタッチしたんだから、しっかり休まないと」
 渡辺さんにポンと肩を叩かれ「はい」と返事をして彼女と一緒に病院を後にするが、Sカフェを見て蓮先生との約束を思い出した。
「あっ、私コーヒー飲んでいくのでここで。お疲れさまでした」
 ペコリと頭を下げると、「じゃあ、また明日」と渡辺さんは私に軽く手を振って駅に向かう。
 私も彼女もここから一駅先にある単身者の寮に住んでいる。自宅はそんなに遠くないけど、やはり朝が早いので寮に住むことにした。
 カフェに入ると、ホットコーヒーを頼み、窓側の席に座って飲む。
 蓮先生の冗談かもしれないけど、ちょっと待ってみよう。
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