私が好きになったのはどっちなの?
 アルコールを口にしたせいか、思ったことをそのまま口にすれば、土方先生が私に目を向けて聞いてくる。
「あっ、女の子を食べちゃう的な?」
「いえ……なんていうか、孤高の森の王みたいな感じがします」
 女の子に優しいし、誰でもウェルカムだとパッと見はそう思うけど、どこか人を寄せ付けない雰囲気がある。
「孤高って蓮先生じゃなくて樹先生のイメージじゃない?」
 土方先生が意外そうに確認してきて、シャンパンをゴクッと口にしながら自分の印象を伝える。
「うーん、樹先生は馬ですね。草原を走るイメージ」
 本人が目の前にいるのに、お酒のせいか気にならなかった。
「馬か。かっこいいな。おっ、そろそろ帰らないと。じゃあ」
 樹先生は微かに口元を緩め、席を立つ。
 え? 樹先生、もう帰っちゃうの?
 私の心の声が聞こえたのか、店を出ていく樹先生の後ろ姿を見送りながら蓮先生がクスッと笑う。
「あいつストイックだから、次の日のためにいつも夜の十時に就寝するんだ」
「医者の鑑ですね」
 なにも考えずに言えば、蓮先生が肯定するように相槌を打つ。
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