私が好きになったのはどっちなの?

「だからって猫扱いしないでくださいよ」
 花梨ちゃんがちょっとむくれて軽く文句を言うので、小さく笑って謝る。
「ゴメンね。花梨ちゃん、小動物系でかわいいからさ」
 こんな風に微笑めば、普通の女ならイチコロなのだが、彼女の反応は違う。
「私が猫なら蓮先生は狼ですね」
 ジッと俺を見据えて、ニコリともせず率直な印象を口にする。
「あっ、女の子を食べちゃう的な?」
 土方が楽しげに花梨ちゃんに尋ねる。俺も彼と同じように思ったのだが、彼女は否定して、俺の心を見透かすように告げる。
「いえ……なんていうか、孤高の森の王みたいな感じがします」
 孤高の森の王……。その言葉が胸に刺さった。
 当たってるかもしれない。ホント、おもしろいな、この子。
 それに、なんだろう。病院で初めて会った時も思ったが、前にどこかで見たような……そんな気がするのだ。
「孤高って、蓮先生じゃなくて樹先生のイメージじゃない?」
 土方が首を傾げながらそんなことを言うと、花梨ちゃんはシャンパンを飲みながら少し考えるように言う。
「うーん、樹先生は馬ですね。草原を走るイメージ」
 ああ。確かに樹は目標に向かって真っ直ぐに走っている感じがする。
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