私が好きになったのはどっちなの?
「いっぱいっていうほどではないけどね」
 うちは3LDKで、ひとり暮らしにしては広い。……仕方ないか。
 苦笑いしながら渋々受け入れる。
 俺が連れてきたのだから、土方の家で寝かすわけにもいかない。しかも土方も酔っているし、なにか間違いが起こったら困る。

 その後、土方とは店の前で別れ、麻里さんに手伝ってもらって花梨ちゃんをうちに運ぶ。
 俺が住んでいるのは、病院から徒歩三分の距離にある五階建ての低層マンションの最上階。隣には樹が住んでいて、よく互いの部屋を行き来している。
「麻里さん、悪いんだけど、彼女の着替え頼んでいいかな?」
 寝室のベッドに花梨ちゃんを寝かせ、クローゼットを開けて部屋着を出すと、麻里さんに手渡した。
「蓮くんが着替えさせないの?」
 楽しげに目を輝かせる彼女に真顔で答える。
「安易に触れていい子じゃないから」
「了解」
 麻里さんがコクッと頷いたので、俺は部屋を出てキッチンへ向かう。
冷蔵庫から水を出して飲み、スマホでタクシーを手配すると、麻里さんがやってきた。
「終わったわよ」
「ありがと、麻里さん。タクシー呼んでおいたから」
 スマホから顔を上げ、彼女に礼を言う。
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