私が好きになったのはどっちなの?
「得意げに言うな」
 ハハッと笑って注意する先生を見て、今ならあのこと聞けるんじゃないかと思った。
「先生、あの……」
「なに?」
 あ~、聞いていいのかな? もしなにもなかったら、先生に悪くない?
「あ~、やっぱりいいです」
「一緒に寝た仲じゃないか」
「ちょっ、先生〜!」
 先生の白衣を掴んで抗議したら、急にキラリと目を光らせる。
「ひょっとして、本当に寝たか気になってる?」
 先生はホントいろいろと察しがいい。
「はい……」
 返事をしつつも、聞くのが怖くて蓮先生から視線を逸らしたら、急に顎をクイとされハッとした。
 張り詰める空気。
 これは……なにかあったの?
「なにもなかったよ」
 真剣な眼差しで言ったかと思ったら、最後はニヤリとした。
 一瞬キョトンとしてしまったが、数秒後にようやく先生の言葉を理解する。
 よかった。なにもなかった。
「残念だったね」
 先生が顔を近づけてセクシーな声で言うものだから、反射的に仰け反ってしまう。
「全然残念じゃありません!」
 ここが診察室と言うのも忘れ、声をあげて怒った。



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