私が好きになったのはどっちなの?
「私は昔父と一緒にやったことはあるんですけど、セッティングとか全然知らなくて」
 つまり蓮先生と樹先生のお手伝いはできない。父に習っておけばよかったと後悔する。
 ボーッと先生たちのセッティングを見ていたが、やはり扱いは手慣れていてじっと見てしまう。
 針にはキラキラしたスプーンルアーと呼ばれている金属がついていた。どうやら今日はルアー釣りらしい。
「おおっ、その糸捌き。流石脳外科医」
 思わず感嘆の声を漏らせば、樹先生がクスッと笑った。
「こいつ器用だから」
 う、嬉しい。思いがけず樹先生の笑顔いただきました!
「い、樹先生も器用ですよ」
 興奮と緊張でつっかえるが、挨拶以外で喋れて嬉しくなる。
 早くも課題クリア。また蓮先生の腕で注射の練習ができる。結局蓮先生に注射できたのは一回のみで、彼に『樹と話さないと、一生点滴うまくならないよ』と毎日プレッシャーをかけられていたのだ。
 フフッとひとり笑みを浮かべていたら、蓮先生と目が合った。
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