私が好きになったのはどっちなの?
 その目は「よかったね」と言っている。
 蓮先生、月曜日覚悟しておいてくださいね。
 先生たちは竿を八本くらい持ってきていて、全部のセッティングを終えると、蓮先生が私と静香さんを呼んだ。
「渡辺さん、花梨ちゃん」
 基本、場を仕切るのは兄の蓮先生のようだ。
 樹先生が近くにいた私に竿を握らせる。
「はい、これ」
「ありがとうございます」と言って握ると、樹先生がジーッと見つめてきてドギマギした。
 え? なに?
 私の持ち方変?
「やり方わかる?」
 樹先生が確認してきて、ちょっとホッとする。
 なんだ。初心者だと思ったのか。
「はい。やったことがあるので」
 若干強張った笑顔で返事をする私の横で、蓮先生が静香さんにレクチャーする。
 それを見ていた樹先生が、「渡辺のそんな緊張した顔、久々に見る」と真顔でつっこんでいた。
「じゃあ樹、手本見せてあげて」
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