私が好きになったのはどっちなの?
「「いいですね」」
 私も静香さんも笑顔で返事をする。
 やはり魚に触れると石鹸で手を洗っても生臭さがなかなか消えない。
 それに汗をかいたから温泉に入れるのは有り難かった。
 二十分ほどで温泉施設に着いて、蓮先生が受付をすると早速男女に別れる。
「じゃあ、上がったら休憩室で休んでて」
 蓮先生が私と静香さんに軽く手を振り、樹先生は「じゃ」と軽く手を上げて男風呂に消えていく。
 私と静香さんは女風呂へ――。
 脱衣所にはちらほら人がいたけど、浴場には誰もいなくて、身体をよく洗って内風呂にまず入ると、静香さんが私の手の絆創膏に気づいた。
「その手、どうしたの?」
「どこかで切っちゃったみたいで、蓮先生が貼ってくれました。気づいたのも先生で」
 ハハッと苦笑いしながら答えると、静香さんが納得した様子で蓮先生を褒める。
「蓮先生、流石ね。仕事でもよく周り見てるし。それにしても、花梨さん、蓮先生とすごく仲がいいわね」
「病院入ってすぐに先生が看護師といちゃついてるの見ちゃって、それでそんな偉い人と思わなくて注意したんです。それから、先生がおもしろがって私をからかってるだけなんですけど」
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