転生したら捨てられ公爵夫人になったので放置生活を楽しみます~使えない才女ですので、どうぞお気になさらず~
「わかったな、アリアージュ!」
いやでもトリステット第一王子なんて知らないし……。攻略対象者の王太子はラフォルトじゃなかったかしら? あら? 確か第二王子の名前よね、それ。
「アリアージュ! おいっ!」
頭の中の記憶を遡って思い出そうとしてもなかなかたどり着かない。
ああもう。覚えているはずなのよ。妹に勧められたゲーム雑誌を読んだもの、ちゃんと。こういうときこそ、パソコンやスマホみたいに検索できればいいのに……!
そう考えた時、わたしの目の前に一瞬でパッと検索バーが出た。なぜか前世でなじみ深いタブレット型の画面として映し出されている。
は? 何、これ……だ、誰も見えていないの?
突然飛び出した画面に驚き慌てて周りを見回しても、誰にもコレが見えていないのか不思議そうにしている者はひとりとしていない。むしろ慌てるわたしを見て、婚約破棄の言葉に動揺しているのだと不憫そうな目を向けていた。
この状況がおかしく思いつつも他に手がかりはない。恐る恐る小さな声で検索バーに〝トリステット〟と呟いてみるが、検索結果としては何も出てこない。
え、何で? じゃあ、トリステットって……誰?
呆けて何も言葉を発しないように見えるわたしが気に入らないのか、壇上から下りたトリステット殿下が大股で近づいてきた。
「婚約破棄だ! お前は捨てられたんだ、アリアージュ」
目の前であらためてそう宣言され、わたしは大きく目を見開いた。それに気を良くした殿下はニヤニヤと笑う。どうやらまだ続きがあるらしい。
「しかし、お前がどうしてもと言うのであれば、愛人としてやらないこともない」
はぁ!? いやいやいや、勘弁してください。そんなの何の罰ゲーム?
「今までどおり俺の補佐もさせてやろう。どうだ、跪いて頼んでみ……」
そこまで言いかけたところで、わたしは手のひらを思いっきり前に差しだした。
その時にトリステット殿下の鼻を掠めたのか、「ふぐっ」と声が聞こえたような気がしたけれども気にせずに答える。
「あ、いいえ。いいです。婚約破棄を受け入れます。ですからどうぞわたしのことはお気になさらずに、お幸せになってくださいませ、トリステット殿下」
シンッと静まりかえった会場の中でドレスの裾を摘まみ、そしてゆっくりと膝を曲げた。
そして皆が我に返る前に急いで会場を後にする。遅れて後ろから、トリステット殿下のわめき声が聞こえたが気にしない。
だって、もう我慢する必要がないもの。
それにここが乙女ゲームの世界なら、よけいに王家とはかかわりあいになりたくないわ。しかも、名前も出てこないモブ王子なんて知ーらない!
わたしは足早に会場を後にすると、実家であるガレミット侯爵家へと戻っていった。
と、上手く茶番の舞台から降りたつもりだったけれども、そうは問屋が卸さなかった。
トリステット殿下との婚約破棄騒動は、卒業パーティーで行われたため周知のこととなり、王家としても全てをなかったことにはできなかった。しかもわたしが全てを受け入れた返答をしてしまったものだから婚約は正式に破棄せざるを得なかったようだ。
こうなってしまえばトリステット殿下の婚約者の差し替えはクリスティアになるしかない。
やったね!
ホクホクとした気分でいたのも束の間、「これではアリアージュの立場がなくなってしまう」そう考えたらしい王家が王命の名の下に、わたしの新しい相手として選んだのが、先ほど式を挙げたレトラシカ公爵だった。
婚約期間もほぼなし。招待客もなし。よほどトリステット殿下との婚約を最初からなかったことにしたかったのか、本以外はほぼ着の身着のままでわたしはレトラシカ公爵領へと送られてしまうことになったのだ。
いやでもトリステット第一王子なんて知らないし……。攻略対象者の王太子はラフォルトじゃなかったかしら? あら? 確か第二王子の名前よね、それ。
「アリアージュ! おいっ!」
頭の中の記憶を遡って思い出そうとしてもなかなかたどり着かない。
ああもう。覚えているはずなのよ。妹に勧められたゲーム雑誌を読んだもの、ちゃんと。こういうときこそ、パソコンやスマホみたいに検索できればいいのに……!
そう考えた時、わたしの目の前に一瞬でパッと検索バーが出た。なぜか前世でなじみ深いタブレット型の画面として映し出されている。
は? 何、これ……だ、誰も見えていないの?
突然飛び出した画面に驚き慌てて周りを見回しても、誰にもコレが見えていないのか不思議そうにしている者はひとりとしていない。むしろ慌てるわたしを見て、婚約破棄の言葉に動揺しているのだと不憫そうな目を向けていた。
この状況がおかしく思いつつも他に手がかりはない。恐る恐る小さな声で検索バーに〝トリステット〟と呟いてみるが、検索結果としては何も出てこない。
え、何で? じゃあ、トリステットって……誰?
呆けて何も言葉を発しないように見えるわたしが気に入らないのか、壇上から下りたトリステット殿下が大股で近づいてきた。
「婚約破棄だ! お前は捨てられたんだ、アリアージュ」
目の前であらためてそう宣言され、わたしは大きく目を見開いた。それに気を良くした殿下はニヤニヤと笑う。どうやらまだ続きがあるらしい。
「しかし、お前がどうしてもと言うのであれば、愛人としてやらないこともない」
はぁ!? いやいやいや、勘弁してください。そんなの何の罰ゲーム?
「今までどおり俺の補佐もさせてやろう。どうだ、跪いて頼んでみ……」
そこまで言いかけたところで、わたしは手のひらを思いっきり前に差しだした。
その時にトリステット殿下の鼻を掠めたのか、「ふぐっ」と声が聞こえたような気がしたけれども気にせずに答える。
「あ、いいえ。いいです。婚約破棄を受け入れます。ですからどうぞわたしのことはお気になさらずに、お幸せになってくださいませ、トリステット殿下」
シンッと静まりかえった会場の中でドレスの裾を摘まみ、そしてゆっくりと膝を曲げた。
そして皆が我に返る前に急いで会場を後にする。遅れて後ろから、トリステット殿下のわめき声が聞こえたが気にしない。
だって、もう我慢する必要がないもの。
それにここが乙女ゲームの世界なら、よけいに王家とはかかわりあいになりたくないわ。しかも、名前も出てこないモブ王子なんて知ーらない!
わたしは足早に会場を後にすると、実家であるガレミット侯爵家へと戻っていった。
と、上手く茶番の舞台から降りたつもりだったけれども、そうは問屋が卸さなかった。
トリステット殿下との婚約破棄騒動は、卒業パーティーで行われたため周知のこととなり、王家としても全てをなかったことにはできなかった。しかもわたしが全てを受け入れた返答をしてしまったものだから婚約は正式に破棄せざるを得なかったようだ。
こうなってしまえばトリステット殿下の婚約者の差し替えはクリスティアになるしかない。
やったね!
ホクホクとした気分でいたのも束の間、「これではアリアージュの立場がなくなってしまう」そう考えたらしい王家が王命の名の下に、わたしの新しい相手として選んだのが、先ほど式を挙げたレトラシカ公爵だった。
婚約期間もほぼなし。招待客もなし。よほどトリステット殿下との婚約を最初からなかったことにしたかったのか、本以外はほぼ着の身着のままでわたしはレトラシカ公爵領へと送られてしまうことになったのだ。