ロマンスに、キス



身だしなみを整えて、深呼吸をひとつ。
何事もなかったみたいな顔を作って、席に戻る。


そして、座るより先に、開口一番で聞いてしまった。



「……ちゃんと、かわいい?」



自分でも驚くくらい、必死な声だったと思う。


優くんは一瞬も迷わず、本当に当たり前みたいに言う。



「かわいいよ?」



それを聞いた瞬間、胸の奥が、じわっと緩む。



……よかった。


かわいくないと、いけない。かわいくないと、あたしじゃない。

かわいいあたしじゃなかったら、それはもう、あたしじゃない。

だって、かわいくないと、みんな、許してくれないもん。



わがままも、弱さも、機嫌の悪さも、かわいいっていう前提があるから、見逃してもらえる。


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