ロマンスに、キス
吐きそうだった。
本当に、今にも吐きそうだった。
胃が重くて、喉の奥が拒否してるのが、はっきりわかるのに。
それでもあたしは、残さずに、全部食べた。
「おいしいね」
ちっとも、そう思ってないくせに。
むしろ、口に入れるたびに苦しくなってるくせに。
笑って、フォークを動かして、ちゃんと“かわいい食べ方”をして。
すると、そのたびに、優くんが言ってくれる。
「かわいいね」
「ほんと、かわいい」
その言葉が、一口ごとに、私を支える。
それで、満たされたはずだった。
少なくとも、そう思いたかった。
かわいいって言われている間は、あたしは、ちゃんとここにいていい。
そう、信じたかった。