ロマンスに、キス



かっこよくて、実家はお金持ちで。
服もセンスがいいし、爪も髪もきちんと手入れされてて、清潔感がある。
なにより、優しい。


「寒くない?」
「重くない?」
「一千華ちゃんが行きたいところでいいよ」


そうやって、あたしを扱う手つきがすごく丁寧で、まるで壊れ物みたいに、大事にしてくれる。
お姫様みたいに。

理想的。
たぶん、誰がどう見ても、文句のつけようがない相手。



「どうぞ」



そう言って、助手席のドアを開けてくれる。
あたしは少しだけ首を傾けて、にこっと笑う。



「ありがと~」



ヒールを揃えて、スカートじゃないパンツの裾を気にしながら、車に乗り込む。
シートはふかふかで、車内はいい匂いがして、選曲も音量も、ちょうどいい。



「昨日の夜、話してた場所でいい?」



ハンドルを握ったまま、優くんがちらっとこちらを見る。
その視線に合わせて、あたしは少しだけ背筋を伸ばした。


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