ロマンスに、キス
着いた先は、最近できたばかりの、SNSで今話題のパンケーキのお店。
白とピンクを基調にした外観で、ハートやリボンの装飾がこれでもかってくらい並んでいる。
……ちょっと、ラブリーすぎるかも。
一瞬だけ、優くんの反応が気になった。
こういう甘い雰囲気、どう思うかなって。
でもそんな心配をする前に、優くんは何でもない顔で、自然にあたしの手を取った。
「行こっか」
指先が触れて、絡められる。
ためらいもなく、当たり前みたいに。
そのまま一歩前に出て、あたしを連れていく。
――エスコート、完璧。
店内に入ると、甘い匂いがふわっと鼻をくすぐった。
視線を感じて顔を上げると、店員さんの女の子が、露骨に優くんを見て固まっている。
……あ、わかりやす。
頬がじわっと赤くなって、視線が泳いで。
それから、隣にいるあたしを見て、ほんの一瞬、表情が曇る。
落胆。
失望。
「あ、彼女いるんだ」っていう、あの顔。
イケメンだからね、優くん。
仕方ない。
その様子を横目で確認して、胸の奥で、小さく満足する自分がいる。
あたしのもの。
取られない。
ちゃんと、隣に立ってる。