転生した赤ちゃん皇女さまは家族のために暗躍します~冷酷皇帝一家の天才幼女がどんな事件も解決でしゅ!~
11.魔法で遊ぼう
私は指先にそっと光の群れの魔法を発動させる。
しかもわかりやすいように、魔力をダダ洩れにさせて。
普段は外に隠しながら使っている魔力をあえて外に出して。
「ばーうー」
私の右人差し指の内側がぼんやりと光る。
光自体はさらに加減しているので、マッチの火よりも弱い程度だ。
でもわかりやすい魔法の使い方をしたので、兄ふたりがすぐに食いつく。
「これは魔法? もう使えるんだ」
「まだ一歳だよね! うわぁ、ラミリアに才能があるっていうのは本当だったんだ!」
シャルウッドとボルツは興奮気味に私へ注目する。
よしよし。話題作り成功だ、ふぅ……。
「ねぇ、兄上……ラミリアは魔法が好きみたいだね」
「うん、そうだね。中庭で僕たちの魔法を見せてあげようか」
シャルウッドからは露骨な誘導を感じる。
場を仕切り直したいらしいが、それは私も望むところ。
「賛成! ラミリアも魔法を見たいだろ?」
「きゃ、だーうー!」
全身で乗り気のアピールをしてみる。
中庭ならソーニャ的にも問題はないということで、私たちは中庭へ移動する。
夜とは違い、鮮やかな緑が一面に美しい。様々な花も赤や黄色、青と咲いている。
中庭のテラスを少し動かして場所を確保。ふむ、ちょっとした野外空間になった。
ふたりのお付きの人とこちらのお付きの人で結構な人数だけど、窮屈ではない。
ボルツが一歩前に出て指先に魔力を集める。
「ようし、じゃあ僕から魔法を見せるよ!」
言って、ボルツが光の群れの魔法を展開する。
指先から放たれたのは五つの光の粒だ。
ひとつひとつの粒がカミルのものよりちょっと大きい。
「んんんっー!!」
ボルツは唸りながら魔法を続ける……光の粒が舞い上がり、交差する。
なるほどなるほど、粒が空中を動く速度はカミルと同じくらいか。
やがて光の群れがぽんと弾け、光の塵が広がる。
「きゃっ、あーうー!」
「あははっ、喜んでくれたみたいだ」
「じゃあ、次は僕の番だね」
シャルウッドはゆっくりと喉に魔力を練り合わせていく。
少し待つとシャルウッドが口を閉じて、開いた。
「わんわんっ、わん!」
「だぁー!」
うわ、犬の鳴き声と全く同じだ!
なるほど、喉を魔力で変化させたりして同じ音を出したのか。
さらにシャルウッドは次の声真似を始めた。
「にゃん、にゃにゃーん」
おおー、今度は猫ちゃんだ。似ている。
いつもモナックの鳴き声を聞いているけど、猫の雰囲気が出ている!
『艶が足りないにゃん』
『厳しい……』
モナック的には納得できる出来ではなかったみたいだけど。
でも私はボルツに続いて手をぽにぽに叩いて喜んだ。
「けほっ、好評みたいだね」
「ようし、僕も次の魔法を……新しく習った魔法を見せてあげる!」
ボルツが両手をかざし、空中に向ける。
魔力は両方の手のひらに集まって、ピリピリしつつある。
ううむ、さっきまでの魔法と違う。これは結構、高等な魔法ではないのだろうか。
「ボルツ、そんなに魔力を使う魔法は……」
「大丈夫だよ、もう何度も使っているんだし。ふんっ!!」
ボルツが魔力を放つと、青い魔力でできた六角形の立方体が両手の先にできた。
おおー、これまで見てきた魔法とは一味違う。
立方体の中には蠅がいて、慌てて立方体の外に出ようとして――青い魔力の面に弾かれた。
どうやら中から外に出ることはできない……結界を作る魔法かな。
「ふぅー……はぁっ! もう限界っ!」
ボルツが言って魔法を解き、石畳の床に座った。
六角形の立方体もすぐさま霧散する。
同時に蠅も解放されて、ぷーんと花のほうに飛んでいった。
「魔力を使いすぎるからだよ」
「えへへ、でも最近練習してる魔法だし。ラミリアに見せたかったんだ」
「……誰に教わったの?」
「グレンダだよ!」
私はグレンダの名前を聞いて、動きを止めてしまった。
『動揺が出てるにゃ』
『はっ……!』
きゃっきゃっと元のテンションに戻る。ふぅ、一歳児も楽じゃないよ。
にしてもまさか、ここでグレンダの名前が出てくるとは。
「グレンダさんはお父様に次ぐ魔力の持ち主だ。簡単に真似しちゃ危ないよ」
「そんなことないよ! グレンダはいつも僕の魔法を褒めてくれるし、危なくないって」
シャルウッドはやや眉を寄せて渋い顔をしている。
一方、ボルツはあっけらかんとグレンダの魔法を受け入れているようだった。
(にしても、あの私に意地悪してくれたグレンダがボルツに魔法をでしゅか……?)
グレンダはレインに執着していて、私にさえ爪を立ててきたのだ。
ボルツもグレンダから憎悪されていそうなものなのに。
何か私と違うのか……。私がカミルの娘だからかなぁ?
ボルツが深呼吸をして立ち上がり、自身のメイドに声をかける。
「ふぅ、喉も渇いたしアレを持ってきて!」
ボルツの呼びかけにメイドがすぐさま金属製の水筒を持ってきた。
アレでわかるぐらいの飲み物らしい。
ボルツはぽんと水筒を開けると、ごくごくと中身を飲み始める。
「これって、南の国の飲み物なんだって。魔法も上手く使えるようになるんだってさ」
「本当? 飲むと魔法の腕が上がるの?」
シャルウッドが興味を引かれたようにボルツの水筒を覗き込む。
飲むと魔法が上達すると言われ、私もちょっと好奇心を刺激される。
「だぁー、うー」
ボルツの水筒を指差しながら足をバタバタ。
一歳児の興味の持ち方として、これでいいはずだ。ということにしておこう。
なんとか伝われと思っていると、ベビーカーが前進し始めた。
「ラミリア様もご興味あるようです」
「うーっ!」(ナイス、ソーニャ!)
ということでボルツのすぐそばに行って、私は鼻をふんふんと利かせた。
ボルツの飲み物の正体が知りたいのだ。
鼻の内部にこっそり魔力を集中させて嗅覚を強化してみたのだけど……。
(すえたような、発酵臭……? なに、これ?)
でも完全に嗅いだことのない匂いではないような……。
『モナック、今ボルツの飲んでいるのってわかるでしゅ?』
『あたしもこの匂い、知らないのにゃー。ヘイラル帝国の飲み物じゃないのにゃ』
本当に結構レアな飲み物らしい。うーん、正体を知りたい。
そこでボルツがシャルウッドへ水筒を押し付けようとする。
「ほら、兄上も! 飲んでみなって!」
「僕は……うーん……」
シャルウッドは水筒を受け取らないが迷っているようだった。
彼は魔法に自信がない。本当に飲むだけで魔法が上手くなるなら飲みたいはずだ。
「大丈夫だって。南に生える豆の煮汁だよ?」
言って、ボルツが水筒からまた飲む。
その飲み終わったボルツの唇には、黒い液体が付着していた。
(まさか……あの色は、もしかするでしゅか!)
一度、頭の中で繋がるとすんなりと答えが出てくる。
このすえたような香り、黒色、南の飲み物……水筒の中身はコーヒーなのでは?
しかもわかりやすいように、魔力をダダ洩れにさせて。
普段は外に隠しながら使っている魔力をあえて外に出して。
「ばーうー」
私の右人差し指の内側がぼんやりと光る。
光自体はさらに加減しているので、マッチの火よりも弱い程度だ。
でもわかりやすい魔法の使い方をしたので、兄ふたりがすぐに食いつく。
「これは魔法? もう使えるんだ」
「まだ一歳だよね! うわぁ、ラミリアに才能があるっていうのは本当だったんだ!」
シャルウッドとボルツは興奮気味に私へ注目する。
よしよし。話題作り成功だ、ふぅ……。
「ねぇ、兄上……ラミリアは魔法が好きみたいだね」
「うん、そうだね。中庭で僕たちの魔法を見せてあげようか」
シャルウッドからは露骨な誘導を感じる。
場を仕切り直したいらしいが、それは私も望むところ。
「賛成! ラミリアも魔法を見たいだろ?」
「きゃ、だーうー!」
全身で乗り気のアピールをしてみる。
中庭ならソーニャ的にも問題はないということで、私たちは中庭へ移動する。
夜とは違い、鮮やかな緑が一面に美しい。様々な花も赤や黄色、青と咲いている。
中庭のテラスを少し動かして場所を確保。ふむ、ちょっとした野外空間になった。
ふたりのお付きの人とこちらのお付きの人で結構な人数だけど、窮屈ではない。
ボルツが一歩前に出て指先に魔力を集める。
「ようし、じゃあ僕から魔法を見せるよ!」
言って、ボルツが光の群れの魔法を展開する。
指先から放たれたのは五つの光の粒だ。
ひとつひとつの粒がカミルのものよりちょっと大きい。
「んんんっー!!」
ボルツは唸りながら魔法を続ける……光の粒が舞い上がり、交差する。
なるほどなるほど、粒が空中を動く速度はカミルと同じくらいか。
やがて光の群れがぽんと弾け、光の塵が広がる。
「きゃっ、あーうー!」
「あははっ、喜んでくれたみたいだ」
「じゃあ、次は僕の番だね」
シャルウッドはゆっくりと喉に魔力を練り合わせていく。
少し待つとシャルウッドが口を閉じて、開いた。
「わんわんっ、わん!」
「だぁー!」
うわ、犬の鳴き声と全く同じだ!
なるほど、喉を魔力で変化させたりして同じ音を出したのか。
さらにシャルウッドは次の声真似を始めた。
「にゃん、にゃにゃーん」
おおー、今度は猫ちゃんだ。似ている。
いつもモナックの鳴き声を聞いているけど、猫の雰囲気が出ている!
『艶が足りないにゃん』
『厳しい……』
モナック的には納得できる出来ではなかったみたいだけど。
でも私はボルツに続いて手をぽにぽに叩いて喜んだ。
「けほっ、好評みたいだね」
「ようし、僕も次の魔法を……新しく習った魔法を見せてあげる!」
ボルツが両手をかざし、空中に向ける。
魔力は両方の手のひらに集まって、ピリピリしつつある。
ううむ、さっきまでの魔法と違う。これは結構、高等な魔法ではないのだろうか。
「ボルツ、そんなに魔力を使う魔法は……」
「大丈夫だよ、もう何度も使っているんだし。ふんっ!!」
ボルツが魔力を放つと、青い魔力でできた六角形の立方体が両手の先にできた。
おおー、これまで見てきた魔法とは一味違う。
立方体の中には蠅がいて、慌てて立方体の外に出ようとして――青い魔力の面に弾かれた。
どうやら中から外に出ることはできない……結界を作る魔法かな。
「ふぅー……はぁっ! もう限界っ!」
ボルツが言って魔法を解き、石畳の床に座った。
六角形の立方体もすぐさま霧散する。
同時に蠅も解放されて、ぷーんと花のほうに飛んでいった。
「魔力を使いすぎるからだよ」
「えへへ、でも最近練習してる魔法だし。ラミリアに見せたかったんだ」
「……誰に教わったの?」
「グレンダだよ!」
私はグレンダの名前を聞いて、動きを止めてしまった。
『動揺が出てるにゃ』
『はっ……!』
きゃっきゃっと元のテンションに戻る。ふぅ、一歳児も楽じゃないよ。
にしてもまさか、ここでグレンダの名前が出てくるとは。
「グレンダさんはお父様に次ぐ魔力の持ち主だ。簡単に真似しちゃ危ないよ」
「そんなことないよ! グレンダはいつも僕の魔法を褒めてくれるし、危なくないって」
シャルウッドはやや眉を寄せて渋い顔をしている。
一方、ボルツはあっけらかんとグレンダの魔法を受け入れているようだった。
(にしても、あの私に意地悪してくれたグレンダがボルツに魔法をでしゅか……?)
グレンダはレインに執着していて、私にさえ爪を立ててきたのだ。
ボルツもグレンダから憎悪されていそうなものなのに。
何か私と違うのか……。私がカミルの娘だからかなぁ?
ボルツが深呼吸をして立ち上がり、自身のメイドに声をかける。
「ふぅ、喉も渇いたしアレを持ってきて!」
ボルツの呼びかけにメイドがすぐさま金属製の水筒を持ってきた。
アレでわかるぐらいの飲み物らしい。
ボルツはぽんと水筒を開けると、ごくごくと中身を飲み始める。
「これって、南の国の飲み物なんだって。魔法も上手く使えるようになるんだってさ」
「本当? 飲むと魔法の腕が上がるの?」
シャルウッドが興味を引かれたようにボルツの水筒を覗き込む。
飲むと魔法が上達すると言われ、私もちょっと好奇心を刺激される。
「だぁー、うー」
ボルツの水筒を指差しながら足をバタバタ。
一歳児の興味の持ち方として、これでいいはずだ。ということにしておこう。
なんとか伝われと思っていると、ベビーカーが前進し始めた。
「ラミリア様もご興味あるようです」
「うーっ!」(ナイス、ソーニャ!)
ということでボルツのすぐそばに行って、私は鼻をふんふんと利かせた。
ボルツの飲み物の正体が知りたいのだ。
鼻の内部にこっそり魔力を集中させて嗅覚を強化してみたのだけど……。
(すえたような、発酵臭……? なに、これ?)
でも完全に嗅いだことのない匂いではないような……。
『モナック、今ボルツの飲んでいるのってわかるでしゅ?』
『あたしもこの匂い、知らないのにゃー。ヘイラル帝国の飲み物じゃないのにゃ』
本当に結構レアな飲み物らしい。うーん、正体を知りたい。
そこでボルツがシャルウッドへ水筒を押し付けようとする。
「ほら、兄上も! 飲んでみなって!」
「僕は……うーん……」
シャルウッドは水筒を受け取らないが迷っているようだった。
彼は魔法に自信がない。本当に飲むだけで魔法が上手くなるなら飲みたいはずだ。
「大丈夫だって。南に生える豆の煮汁だよ?」
言って、ボルツが水筒からまた飲む。
その飲み終わったボルツの唇には、黒い液体が付着していた。
(まさか……あの色は、もしかするでしゅか!)
一度、頭の中で繋がるとすんなりと答えが出てくる。
このすえたような香り、黒色、南の飲み物……水筒の中身はコーヒーなのでは?