運命の恋は、スマホの外にありました
 店員さんはにっこりと笑った。

「はい! お客様は色白ですから、こういうはっきりしたお色味のピンクは似合いそうですね」

「だってさ。着てみようよ、華恋ちゃん」

 いやいや、今のは店員さんのリップサービスですってば!

「龍介さん、私はデニムの代わりになるボトムスさえあれば良いんですよ」

 パンツやスカートと比べると、ワンピースは高価だ。
 値札をこっそりチェックすると、一万三千円もする。知り合ったばかりの男性に買ってもらうような値段ではない。

「遠慮しないで。華恋ちゃんが欲しい服を選んだ方が、俺も俺の金も喜ぶから」

「何言ってるんですか……」

 渋い顔をするのは私だけ。龍介さんも店員さんも、期待いっぱいの笑顔で私を見ている。試着を断れない雰囲気だ。ニ対一は不利だよ。

「じゃあ、着てみます」

 無言の笑みの圧に負けて、私は観念してそう言った。

「かしこまりました! 試着室はこちらです」

 元気な店員さんに先導されて、ショップの片隅にある試着室に入る。カーテンを閉めて、手にしたワンピースを眺めた。

「似合わないよ、きっと」

 思わず、本音が漏れる。
 それでも、服を脱いで、開いてる背中のファスナーからワンピースに身体を滑り込ませた時――、トクンと胸が高鳴った。
 背中を鏡に映して、ファスナーを閉める。そして、全身を確認するために正面を向くと、鏡の中の自分にドキドキが大きくなった。

「わあ……」

 店員さんが言ってた通り、ストロベリーピンクは意外と私に似合うみたい。肌の色がトーンアップして見える。
 それに、ウエストでくびれるデザインのワンピースは、スタイルが良く見えることも判明した。サイズを選べば、私みたいな平凡体型でも着られるし。
 さすがに、店員さんみたいなアイドルオーラはないけれど、別に悪くないんじゃない?
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