運命の恋は、スマホの外にありました
「よし、華恋ちゃんの服はこれで決まり! お会計頼むね。後、このまま着ていきたいから、タグを外してもらえる?」

 龍介さんがテキパキと支払いを終えて、この可愛いワンピースは、ついに私の物になった。
 着ていた服をショッパーに入れてもらい、店を出る。
 ストロベリーピンクのワンピースで歩く私。足取りが軽くて、まるで自分じゃないみたい。
 明るい気持ちのまま、私は深々と頭を下げた。

「龍介さん、ありがとうございます。服でこんなにテンション上がったのは、生まれて初めてです!」

「それは良かった。今の華恋ちゃん、キラキラしてるよ」

 うんうんと頷く龍介さん。
 彼は女性に幻滅されるって公園で話してたけど、そんなことないよね。
 私から見たら、とても優しい理想の男性だもの。
 そう思った瞬間、公園での二十分間で育てられた恋心が、ふわりと膨らんだ。

「あの、龍介さん」

「ん?」

 私は無言で、龍介さんを道の端まで誘導した。立ち止まり、彼の顔を見上げる。
 今、私たちがいる場所は、ファッションビルから駅までの館内連絡通路。色気も何もないし、人通りも多い。
 だけど。
 もう、躊躇(ためら)ってはいけない。
 この恋を逃してはいけない。

「例えば、龍介さんがお洒落なバーで飲んでたとしたら、私はあなたを好きになりませんでした」

「え?」

 龍介さんは(いぶか)しげな顔をする。
 でも、私は止まらない。

「あの公園で自販機のメロンクリームソーダを飲んで、ぼんやりと夕陽を眺める自然体のあなたが好きです」
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