運命の恋は、スマホの外にありました
 駅の出入口近くにある自販機で、物珍しさからメロンクリームソーダを購入。メロン色したパステルグリーンの飲料にちょっと驚きつつ、片手に持ってぶらぶらと歩き出す。
 二区画分進んだところで、ふと、立ち並ぶ建物が途切れ、小さな公園が現れた。

「へぇ、こんな場所あったんだ」

 申し訳程度の木々と植え込み。遊具はブランコと小さな滑り台だけ。端っこにベンチがひとつ、ぽつんと置かれている。
 夕方だからか、それとも場所のせいか、公園内には誰もいない。まるで誰からも忘れられているみたいに、ぽっかりと空いた都会のエアポケット。
 二十分弱の時間つぶしが出来ればいいから、ここにいようかな。

「うん」

 私は一人頷くと、公園に足を踏み入れた。ベンチが汚れていないのを確認してから、浅く腰掛ける。

「デニム履いてきて良かったな」

 今日の服装は、黒のドット柄シアーブラウスにストレートデニムを合わせ、パールが揺れるロングピアスを着けている。
 イマドキの社会人男性は疲れてるから、清楚一辺倒よりは親しみやすい格好の方がいいんだって。恋愛系のSNSで知り実践した。
 今となっては、その努力も虚しいだけなんだけどさ。

「二十七歳にもなって、何やってんだろ、私」

 ぽつりと呟き、空を見上げる。所々建物に遮られた夕暮れ前の空を見ていると、余計に虚しくなった。

 仕事は残業だらけで、どうせ一生平社員。
 最近婚約した友達もいるっていうのに、私は彼氏がなかなか出来ない上に、初デートで待ちぼうけをくらっている。
 唯一の楽しみといえばオタ活で、推しているVTuberの配信やイベントを追いかけて、グッズを購入するのだけが生きがいだ。

「私って、何て冴えないアラサー女なんだろう……」

「君は冴えないアラサー女なのか?」

「へっ!?」

 思わぬ声に、私は感傷にふけるのをやめてパッと顔を上げた。
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop