運命の恋は、スマホの外にありました
「マチアプ?」

 首を傾げる龍介さん。

「マッチングアプリの略です。やったことないですか?」

「ああ、そう略すんだね。俺の周りでもそれで彼女出来た奴いるよ。自分はやったことないけど」

 まあ、そうか。龍介さんなら、マチアプをやらなくても、すぐに彼女が出来そうだもんね。

「私の友達もアプリで彼氏作ってたから、羨ましくて。職場も女性ばかりだし、自分から動かないと、男性と出会えないので」

「なるほどね。どう? マチアプをやってみて」

「それが……」

 思わず、大きなため息を吐く。
 龍介さんが苦笑した。

「上手くいってたら、こんなところでボヤいてないか」

「その通りです」

 外見だけ親しみやすいキラキラ女子を装ってみても、本当の私は口下手で人見知り。メッキはすぐに()げてしまう。
 自分の意見を上手く言えず、相手の些細な言動に一喜一憂して、なかなか彼氏が出来ない状況が続くうちに――すっかり疲れ果ててしまった。

 マチアプって就活みたい。人気の会社(男性)に自分の興味を知らせることは出来るけど、向こうが選んでくれるとは限らない。
 っていうか、十中八九選ばれない。その理由は私のアピール不足、ううん、スペック不足なんだろうなぁ。
 否が応でも、自分の市場価値を知らされる。それが就活及びマチアプだ。

 別に私は、ハイスペイケメンじゃなきゃ嫌なわけではない。気が合って優しい人ならオールオッケーだ。
 でも、そういう人とも出会えてないんだよね。恋愛に向いてないのかな。

「そして今は、デートの待ち合わせをした相手に三十分待たされてるところです」

「マジかよ。酷いな」

 目を見開く龍介さんを見て、情けなさが倍増する。

「やっぱり私は、名前負けしてる拗らせアラサー女なんです。華やかな恋なんて、出来そうにない」
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