運命の恋は、スマホの外にありました
 こんな初対面の女の愚痴にも、龍介さんは「アプリで出会うのも大変なんだね」と頷いてくれる。
 優しい上にイケメンときたら、相当モテるんだろうなぁ。無理やり共感させちゃって、申し訳ないよ。

「龍介さんは、ゴージャスな恋ばかりしてそうですよね」

「何? ゴージャスな恋って」

 私の言葉に、龍介さんが首を傾げる。

「何万円もするような高級ディナーとか、ハイブランドの誕生日プレゼントとか、海外旅行でラグジュアリーなホテルに泊まるとか」

 具体例を挙げると、彼は「ははっ」と面白がるように笑った。

「やけに詳しいね」

「SNSの弊害です」

 そういう投稿ばっかり見てるから、余計に拗らせちゃうんだよね。
 見なきゃいいだけの話なのに、キラキラ女子は人気があるから、SNSのおすすめに上がってきて、結局見ちゃうのよ。

「華恋ちゃんは、そういうデートがしたいの?」

 龍介さんの問い掛けに、ちょっと考えてから、ゆるゆると首を横に振る。

「いえ、別に。私がしたいのは、公園をゆったりお散歩してから、カフェにご飯を食べに行くようなデートですかねぇ」

「じゃあ、華やかな恋を羨ましがらなくてもいいんじゃないの?」

「うっ、(おっしゃ)る通りです」

 的確な意見が胸に響く。
 そういえば、友達とこんな本音トークをしなくなったな。妙に気を使い合っちゃって、これもアラサーになったからなのかな?

「俺からすれば、カフェデートも充分華やかだけどね」

「えっ?」

 意外な言葉に瞬きする。

「龍介さんがデートで行く場所は、高級フレンチレストランじゃないんですか?」

「何でそうなるの? 行ったことないよ、そんな場所」

 苦笑する龍介さん。
 あれっ、つまりこれは……。

「私、龍介さんを誤解してたかも」

「その通り。今の俺はスーツでビシッとキメてるけど、プライベートは結構ダラけてるからな」 

「へぇ、そうなんですか」
< 8 / 20 >

この作品をシェア

pagetop