月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 3


 宴から一週間以上が経った日。この日、村には東カンテラ皇国の都・バロンからの役人が十人ほど来ていた。フルハ島からバロンまではおよそ四百キロメートル離れている。都の役人がわざわざフルハ島まで来ることは十年にいちどあるかないかだ。そして、来るとしたら島民にとって悪い理由だけ。島じゅうの人たちに緊張感がただよう。


 役人たちは桐杏たちが住む家の扉を開ける。


「お前は――小さいから違うな」


 ひとりの役人は土足で家の中に入ってすぐ、九歳の璃社を指さした。この中で立場がいちばん上なのがその男なのだろう。恵まれた体格をしていて、身長は百九十センチメートルほどある。桐杏は違うってなにが、とわけがわからない。


「そこの女、名はなんと言う?」


 役人は続いて桐杏を指す。男のつり上がった眉ととがった耳が威圧感を余計に与える。
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