月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
桐杏はそこではっとした。自分が犠牲となるだけで、家族を貧しさから救えると。
「そんな条件で、娘を差し出すものですか!」
君火は桐杏をかばうように抱いた。
「待って、お母さん」
桐杏は君火から離れる。
「私、夜伽者になります」
「桐杏! だめよ!」
「夜伽者といっても、衣食住が約束されている。悪い話ではないよ。お父さんが処刑されるより、ずっといい」
「……」
役人は腕組みをしたまま、真顔で桐杏を見ている。桐杏は彼の前に立つ。
「ただし、条件があります。この家族から夜伽者となるのは私だけで、妹はこの先も絶対にそうさせないでください。いえ、今後このフルハ島からだれひとりとして夜伽者は出さないでください」