月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「ワンッ! ワンッ! ワンッ!」


 島に異変が起こったことは、犬のマチノにも伝わったようだ。マチノはまるで桐杏に「行かないで」と言うように、いつまでも吠えていた。


「マチノ、ごめんね……」


 桐杏を乗せた舟は島からどんどんと離れていく。見えなくなるまで、桐杏は涙ながらに島を見た。
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