月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 桐杏は昔、島の画家に肖像画を描かせてほしいと懇願されたことがあった。その画家が言うには、桐杏は世の芸術家が思う美人像そのものの顔をしているらしい。卵型の輪郭の中に、目と鼻と口の調和が見事にとれていると。画家は黄金比に合致したこの顔に生まれてきたことはまるで奇跡だと言った。


 また、純粋なカンテラ人に見えない、と言われることも多い。実際は正真正銘の純カンテラ人であるのだが、どこか西洋人との混血を思わせる顔立ちをしている。


「お、おそれ入ります……」


 けれども、桐杏自身は自分の顔には少なからず劣等感を抱いていた。よって、自分を美人だとは思っていない。そして、島育ちの桐杏もまた、寧丸のような美しい男子を見るのは初めてだと感じていた。しかし、ふたりの身分の違いから、正直な気持ちを伝えられずにいる。
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