月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「そなたの名前は? 名で呼べば情が湧くからと、私みたいな皇子は夜伽者の本名を教えてもらえないのだ」


「桐杏と申します」


「そうか、桐杏と言うのか。桐杏、本当に申し訳ないことをした」


「いいえ。寧丸さまは悪くありません。私のような者に寄り添ってくれて、ありがとうございます」


「……いや、私はなにも高尚な人間ではない。今夜、そなたを呼んだのは、少なからずやましい気持ちがあったからだ」


「えっ」


「私は桐杏に会いたいがために、自分の権力を使った。フルハ島でいちばんの美人に間違いないと役人たちが言うそなたを、ひと目見たくて」


 寧丸は照れている。桐杏を直視できないのか、横の方を向いていた。


「しかし、夜伽者が全裸で待たされるとは知らなかった。私の軽率な行動のせいで傷つけてしまい、申し訳ない。謝っても許されないことをしたが、謝罪させてほしい」


 寧丸は土下座する。


「寧丸さま、どうか顔を上げてください」
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