月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
桐杏は皇帝の息子らしからぬ彼の動作にまごつく。初対面の寧丸に裸を見られたことは恥ずかしくあったが、嫌な気とはなっていない。そう思うのは、寧丸のこれまでの対応と美貌にあるだろう――と。
「桐杏はこの国でいちばんの美人だと思う。いや、おそらくこの世界でいちばんの――」
桐杏はまたしても寧丸に顔を触られた。彼にある安心感から、悪い気はしない。それだけでなく、桐杏の心はどきどきとしていた。自分の容姿をほめられていることにかわりないのに、島民に言われた時のよろこびとはまた大きく違う。それは寧丸が身分の高い人間だからか?と。
「今夜は私の話し相手になってくれないか。夜伽には、夜、物語などをして相手になるという意味もある」
「私、物語は得意ではありません」