月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
部屋の外が人声や足音で騒がしくなる。どうやら、一夜明けても部屋から出ていない寧丸に、役人たちが異変を感じているようだ。
「寧丸皇子、開けますよ」
部屋の前で、男の声が聞こえた。
「まずい! 役人が来た!」
寧丸はすかさず桐杏の体に覆い被さる。直後、引き戸は人の手によって開かれた。
「じゃまをするな! 私はこの女と三回目の行為に及ぼうとしているのに!」
寧丸は部屋の前にいる役人に向かって怒鳴る。彼がそう言えば、夜伽はまだ途中であり、寧丸の安否についてなにも心配はいらないと、第三者は納得することだろう。
「これはこれは――大変失礼致しました!」
寧丸の言葉に、役人は慌てて引き戸を閉める。
「ああ、桐杏、すまない。演技とは言え、そなたを蔑むような発言をしてしまった」
「い、いえ……」
寧丸の「三回目の行為」という性的な言葉に、桐杏の顔は真っ赤となっていた。辻褄の合ううそをよく瞬時に思いつけるな、と寧丸に感じる。