月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 寧丸は後ろに回していた片腕を自分の前に持ってきた。


「昼間、桐杏を思いながら庭の花を摘んだ。受け取ってほしい」


 持っていた花束を桐杏に差し出す。


「わあっ!」


 桐杏は寧丸からの贈り物に感激する。花を渡されるという行為は、幼なじみの訓出にもされたことがない。


「可憐で美しい桐杏にぴったりだと思ったのだが、それでよかったのかはわからない。女性に花を贈るなんて、私も安直だろうか」


 寧丸は自信がなさそうにしている。


「そんなことはないです。うれしいです」


「夜でわかりづらいけれど、きれいな花だよ」


「太陽がのぼって明るくなったら、見てみます」


 ふたりは居間に座った。桐杏は花束を机に置く。今は一時的にそうしているだけで、寧丸がここへ来たことがばれないよう、どこかへ隠しておく必要があるだろう。
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