月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
判大狗の病状がよくなってから、桐杏と訓出は家を出た。船だまりは一艘の運搬船が出発しようとしている。
「島の外の人たちは損しているよな。桐杏の音楽が聴けないなんて」
訓出が海を見つめながら言う。彼は桐杏の作る曲を高く評価していた。
「俺、桐杏が高等能力者として生まれたのには、きっとなにか意味があると思うんだ」
桐杏は高等能力のない自分を想像したことが何度かある。それは訓出や他の島民のように、ふつうの人間でありたいという願いでもあった。だけど、今ではこの能力があってよかったと心から思っている。おまけに意味をを持って生まれたと幼なじみから言われると、桐杏はうれしくなった。