政略結婚した顔も知らない夫に気づけば溺愛されていたようです~御曹司は甘く攻めて逃がさない~
祖母のお見舞いに行った日は、過去を思い出すことが多い。沈んだ気持ちを立て直そうとふと自分の手首に触れて、いつもあるものがないと気付き、そこを見て驚く。
「嘘、ない!」
いつも手首につけている、祖母に二十歳の記念にもらったブレスレットがない。
血の気が引いて、指先がどんどん冷たくなっていく。
いったいどこに落としたんだろう。
今日の行動を思い出してみたけれど、まったく記憶がない。
昨日の朝、更衣室で着替える時には身に着けていた。でもその後はどうだろう……。
とくに昨日はすごく忙しくて、職場から帰ってきた後の記憶がない。気が付けば朝だったというくらい疲弊していた。
そして急いで祖母のお見舞いに行ったから……いったいどこだろう。
とりあえず部屋の中にあるかもしれない。
私は部屋をひっくり返すようにしてあちこち捜したけれど、結局その日は見つけることができなかった。


