ずっと片思いしていたエリート外科医の溺愛は妄想と違いすぎました。
「ん……」

 気が付けば時計はお昼を指していた。咲良の上には覆いかぶさるようにして裸の秀介が眠っている。
 それに気が付くと心臓が飛び出そうになった。

(げっ! うそうそうそ先輩が裸で寝てる……! だめだめ、すんごいえっちすぎる!)
「せっせんぱいっ!」
(あっ、大きな声出しちゃった。起こさない方がよかったかな? でもお仕事行かなくて大丈夫なのかな……)
「ん……」

 まどろむ秀介の瞳に視線が移ってしまう。彼のまつ毛は思った以上にふさふさと生えていて長い。それがミステリアスさとセクシーさを演出しているようにも見える。

(かっこいい……)
「……中崎さん、起きたの?」
「わっお、おこしちゃってごめんなさい!」
「いいよ、今日は休日だから」

 ゆっくりと身を起こす秀介の裸体は見事な筋肉美に彩られていた。無駄ひとつない身体つきはさながら芸術作品そのもの。
 咲良は解釈通りな部分と神々しさを堪能しつつ、淫らな妄想に進んでしまおうとするのを必死に我慢していた。

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