ずっと片思いしていたエリート外科医の溺愛は妄想と違いすぎました。
「中崎さんひとり?」
「へっは、はい……そうです……」
「じゃあ隣いい?」
(うわぁ〜! 先輩がっ……隣に! なんでなんでなんで?!)
こうして咲良が秀介を見たのは高校時代以来。髪の色など一部の容姿は変わっているが、華奢な体格は変わらない。
秀介が隣に座った瞬間、彼の香水の匂いが咲良の鼻腔を刺激した。一風爽やかな香りだが、根っこの部分には濃密さが孕んでおり、それを知覚した瞬間、咲良の脳がほんの少しだけ眩む。
「あっせんぱいっ……」
「どうかした?」
「やっ、その……いい匂い、するなって……」
自分で言ったのにも関わらず、顔から火が吹き出してしまいそうな勢いを覚える咲良へ、秀介はははっと軽く笑った。
「これ、新作の香水らしくてな。同僚の皮膚科医がくれたやつなんだ」
「同僚……!」
秀介は大学病院に勤務する医者で担当は消化器外科。バリバリ手術をこなす彼は業界内では若きエリートのひとりとして、たぐいまれな容姿と共に脚光を浴びつつある存在だ。
咲良は当然ながらその事実はよく把握している。彼のSNSだって認識済みだし、大学病院のサイトに掲載されている彼の顔写真は全てスマホに保存済みだ。妄想を文章化させる時のオカズにしているほど。
「へっは、はい……そうです……」
「じゃあ隣いい?」
(うわぁ〜! 先輩がっ……隣に! なんでなんでなんで?!)
こうして咲良が秀介を見たのは高校時代以来。髪の色など一部の容姿は変わっているが、華奢な体格は変わらない。
秀介が隣に座った瞬間、彼の香水の匂いが咲良の鼻腔を刺激した。一風爽やかな香りだが、根っこの部分には濃密さが孕んでおり、それを知覚した瞬間、咲良の脳がほんの少しだけ眩む。
「あっせんぱいっ……」
「どうかした?」
「やっ、その……いい匂い、するなって……」
自分で言ったのにも関わらず、顔から火が吹き出してしまいそうな勢いを覚える咲良へ、秀介はははっと軽く笑った。
「これ、新作の香水らしくてな。同僚の皮膚科医がくれたやつなんだ」
「同僚……!」
秀介は大学病院に勤務する医者で担当は消化器外科。バリバリ手術をこなす彼は業界内では若きエリートのひとりとして、たぐいまれな容姿と共に脚光を浴びつつある存在だ。
咲良は当然ながらその事実はよく把握している。彼のSNSだって認識済みだし、大学病院のサイトに掲載されている彼の顔写真は全てスマホに保存済みだ。妄想を文章化させる時のオカズにしているほど。