私の生きる理由 ~君の鼓動に、永遠の愛を誓って~
 突然の音に、数百人の来場者が一斉に振り返った。
 入り口には、数名の屈強なSPを引き連れた、一人の女性が立っていた。

「…ん? 誰よ、あの女」

 園子が不快そうに顔を歪める。
 だが、その女性が一歩足を踏み出すと、会場の空気が一変した。
 彼女が纏っているのは、夜空のような深いロイヤルブルーのドレス。
 首元には柔らかなピンクのマフラーを巻き、胸元を隠している。
 髪は艶やかに結い上げられ、その美貌はスポットライトよりも鮮烈に輝いていた。

 厚化粧で着飾った園子とは対照的な、研ぎ澄まされた本物の気品。
 会場中が息を呑み、道を開ける。

「あ、あんた誰?ここをどこだと思ってるの?招待状もないなら出て行きなさい!」

 園子がヒステリックに叫ぶ。
 だが、女性は表情一つ変えず、静かに、しかし力強く壇上へと近づいてくる。

「…出て行くのは、あなたです」

 その声を聞いた瞬間、桜介は目を見開いた。
 マイクを通さずとも響く、凛とした声。

「…澪音…?」

 信じられない思いで呟く。
 彼女はまっすぐに園子を見据え、歩みを止めない。
 園子の夫・ハイナカールの顔色が、見る見るうちに青ざめていく。
 彼は気づいたのだ。彼女の後ろに控えているのが、天城グループの精鋭部隊であることに。

「どきなさい、何のつもり!?」

 園子がSPに合図を送ろうとした瞬間、澪音が指を鳴らした。

 ウィーン。

 機械的な音と共に、ステージ背後の巨大スクリーンが降下してくる。
 会場の照明が落ち、暗闇の中にスクリーンだけが青白く浮かび上がった。

「な、何よこれ……」

 そこに映し出されたのは、おぞましい真実の数々だった。
 ハイナカールによる裏金工作の証拠。政治家への贈賄リスト。
 そして、園子がホストクラブで乱痴気騒ぎをし、若い男と枕営業の交渉をしている盗撮映像。
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