私の生きる理由 ~君の鼓動に、永遠の愛を誓って~
「キャーッ!!」
園子が悲鳴を上げる。
「消して! 消しなさいよこんなの!!」
だが映像は止まらない。
さらに画面はニュース記事へと切り替わる。
『ミシェルナ夫人、実子を富豪に売買か』
『過去のひき逃げ事件、隠蔽工作の証拠発覚』
会場は騒然となった。
園子の父親、楠箕田篤がガタガタと震え出し、その場にへたり込む。
「あんたが仕組んだのね!?ただで済むと思ってるわけ!?」
園子が澪音に掴みかかろうとするが、SPにあっさりと取り押さえられた。
澪音は乱れた髪の園子を一瞥もしない。
彼女は壇上に上がると、桜介からマイクを受け取った。
その際、一瞬だけ桜介と目が合い、微かに微笑んだように見えた。
会場の照明が戻る。
澪音は優雅に一礼し、透き通るような声で語り始めた。
「…皆様、お騒がせして誠に申し訳ございません。ご挨拶が遅れました」
彼女は会場を見渡し、はっきりと告げた。
「私は、天城グループ新社長に就任いたしました、天城澪音と申します」
どよめきが爆発した。
「天城グループ?」
「まさか、あの伝説のホテル王の……」
「姪を養女にしたと聞いていたが、これほどの美女だったとは!」
園子とハイナカールは、雷に打たれたように硬直していた。
天城グループといえば、ミシェルナ・グループにとって最大の出資元であり命綱だ。
「本日をもって、我々はミシェルナ・グループとの全契約を解除いたします。ならびに、これまでの不正融資に対する損害賠償を請求させていただきます」
それは、死刑宣告に等しかった。
ハイナカールが膝から崩れ落ちる。園子は半狂乱で叫んだ。
「ど、どうしてよ!あんた、あの時の掃除婦でしょ!?なんであんたなんかに私の幸せを奪われなきゃいけないのよ!」
澪音は静かに園子を見下ろした。
その瞳には、深い悲しみと、燃えるような怒りが宿っていた。
「幸せを奪ったのは、あなたです」
「はあ!?」
「あなたは六年前、飲酒運転で無辜の家族3人をひき殺した。…そして五年前、信号無視で1人の女性の命を奪った。…覚えていますか?緑川京華という名前を」
園子の顔が引きつる。
「そ、そんなの知らないわよ!パパがお金で解決したんだから、終わったことじゃない!」
「終わってなどいません」
澪音は首元のマフラーに手をかけた。
ふわりと布が落ちる。さらに、彼女はドレスの襟元を少し下げた。
そこには、胸の中央を縦に走る、痛々しい手術痕があった。