私の生きる理由 ~君の鼓動に、永遠の愛を誓って~
コンコン。
控えめなノックの音が、思考を遮った。
「入れ」
ドアが開き、現れたのは社長であり、父である緑川忍(しのぶ)だった。
六十歳を過ぎても背筋の伸びた父だが、母を亡くしてからは、その目尻に寂しげな皺が増えたように思う。
「根を詰めすぎだぞ、桜介。少しは休憩をとったらどうだ」
「社長。今は勤務時間中です」
「…ここでは父として話しているんだ」
忍は苦笑しながら、ソファに腰を下ろした。
桜介も仕方なくデスクを離れ、向かいのソファに座る。