激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
窓から差し込む柔らかな光。
ゆっくりと意識が浮上していったルチアは、
思わず顔を赤くした。

肌にかかる温かな腕。
胸に押し当てられた頬。
ずっと自分を抱きしめたまま
眠っているビンセントの寝息。

──ああ、ほんとうに、
昨晩は夢じゃなかったんだ。

昨日の甘く切ない、
けれど身体の奥にまだ残る熱の余韻が、
はっきりと「妻になった」事実を思い出させる。

ルチアがそっと身じろぎすると。

「……ルチア?」
低く掠れたビンセントの声が、
耳元に落ちた。

目を開けると、
彼はまるで安心するように微笑み、
次の瞬間には容赦なく抱き寄せた。

「おはよう。……奥さん。」

その一言だけで、
ルチアの心臓は破裂しそうになる。

「あ、あなた……朝からそんな……」

「だって、言いたかったんだ。ずっと、この言葉を。」

ビンセントは彼女の頬に触れ、
親指でそっと撫でる。

「昨日の君は……本当に綺麗だった。泣くのも、笑うのも、全部俺だけに見せてくれた……」

そう言いながらルチアの額に、
まるで宝物を扱うようにキスを落とす。

一夜明けても、
ビンセントは昨晩よりさらに甘い。
皇帝らしさはどこにもない。
あるのは“ルチアの夫”という顔だけ。
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