激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
ビンセントに抱き寄せられながら、
ルチアの胸には不思議な感情が溢れていた。

(ああ、私……本当にこの人の妻なんだ……)

昨晩まで「恋人」として向き合っていた気持ちが、
朝日とともに「伴侶」という重みを帯び始める。

初めて知るビンセントの表情。
初めて聞いた声。
触れ合った肌。
交わした想い。

それらがゆっくりと
ルチアの心を満たしていった。

そして気付く。

ビンセントは、自分を“奪った”んじゃない。
抱きしめて、守って、受け止めて……
選んでくれたんだと。

「……ビンセント。」

「ん?」

「昨日のあなた……すごく、優しかった。」

その言葉だけでビンセントの表情が瞬時に溶け、
幸福そのものの微笑みになる。

「ルチア。君が望むなら、何十回でも、何百回でも……もちろん今からでも優しくする。」

「ち、違う!そういう意味じゃなくてーーー!」

真っ赤になって抗議するルチアを、
ビンセントは嬉しそうに抱きしめた。
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