総長は姫を一途に溺愛する。


 昼休み、教室の机に座っていると、蓮先輩が突然私の隣に腰を下ろした。

「今日はずっと、俺のそばにいろ」

 耳元でささやかれる低い声。
 自然と手を握り返すと、蓮先輩は少し体を近づけ、肩を軽く抱き寄せる。

 周りのクラスメイトの視線なんて気にならない。
 胸の奥が熱く、心臓がぎゅっとなる。
 私は思わず顔を上げ、蓮先輩を見つめた。

「はい……ずっと、蓮先輩のそばにいます」

 その返事に、蓮先輩はにやりと笑い、私の髪を優しく撫でる。



 放課後、教室を出ると、黒薔薇組のメンバーが廊下で待っていた。

「おお、姫! 今日も可愛いな!」
「ひまりちゃん、蓮先輩のそばで輝いてる!」

 メンバーたちの声に、少し照れながらも笑顔になる私。
 すると、蓮先輩が私を軽く抱き寄せ、耳元で低くささやいた。

「……誰にも渡さない。俺の姫は、俺だけのものだ」

 胸の奥がぎゅっと熱くなり、自然と体を寄せる。
 そのまま廊下を歩きながら、手を握られ、腕を絡められ、温かさに包まれる。



 帰り道、二人で並んで歩くと、夕暮れの光が二人を包む。
 蓮先輩は突然立ち止まり、私をぎゅっと抱き寄せる。

「……ひまり、改めて……やっぱり、俺の姫でいてくれ」

 胸に顔を埋めると、思わず頬が熱くなる。
 そして唇がそっと重なる瞬間、私の心も体も完全に蓮先輩に預ける。

 記憶が戻った今、私はもう迷わない。
 ――私は蓮先輩の姫で、蓮先輩は私のすべて。
 学校でも、家でも、どこでも、二人だけの甘い日常が、ゆっくりと、でも確実に広がっていった。
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