不器用なきみは、涙色の明日を描いていく。
「あっ、遥。ちょっといいか?」

 ふいに、背後からポンと肩を叩かれた。

(みなと)……!」

 振り向くとそこには、私と同じクラスで幼なじみの海堂(かいどう)湊が立っていた。

「あっ、海堂くん!」

 佐伯さんが湊に気づくなり前のめりになった。つるんとした白い頬が、ほんのりとピンクに染まっている。

「もう聞いてよ! 浅田さんってば、『赤のペンキ』を頼んだのに、『青のペンキ』を持ってきて……!」

「知ってる」

 湊は小さくうなずいて、さらりと流すように返事をした。

「赤のペンキはあとで俺が持ってくるよ。美術準備室にあるやつだっけ?」

「うっ……うん、よろしくね」

 さっきとは打って変わって、佐伯さんは穏やかな笑顔を浮かべると、自分の持ち場へと戻っていった。

 私はというと、湊に肩を軽く押されるまま、教室の後ろのスペースへ移動した。

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