不器用なきみは、涙色の明日を描いていく。
「サンキュ。じゃあ俺、美術準備室に行くから。そのペンキも戻しておくよ」

「うん、お願い」

 私は青のペンキ缶を差し出した。湊はそれを受け取ると、軽く片手を挙げて教室を出る。

 よし、私も頑張ろう!

 早速、自分の机の上に画用紙を広げて作業を始める。

 私たちのクラスの出し物はカフェ。だから、看板の枠に積み重なったレンガのもようを書くことにした。

 ネットで調べた積み重なったレンガの写真を参考に、画用紙に薄く下書きしたあと、絵の具で色を塗っていく。

 最初は本物のレンガらしく、赤茶色に塗ろうと思ったけど、せっかく湊が『遥の好きなようにしていい』と言ってくれたから、私の好きなパステルカラーにした。

 淡いオレンジや黄色に、ピンクに水色、ラベンダー。

 現実で見かけるレンガとは違う、ふんわりと優しくて、甘い夢みたいな色合い。
< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop